"「木軸による空間分節と住宅要素の払拭」郊外の戸建住宅。一階居室部分をを解体して理容室とする計画。既存要素を継承しつつ、住宅的要素を払拭した店舗空間が求められた。
ここでいう既存要素とは住宅の木質構造である。この構造を継承し、さらに空間全体へ展開していくことをデザインコンセプトとした。
また乗り越えるべき住宅的要素がある。それは住宅モジュールによる個室区画、２４００ミリの単調な低天井である。これらの要素の払拭する手法として次の考えを用いて設計を行った。まず壁による区画を最低限とする。既存壁面は撤去し、先述の木質構造（構造柱・間柱・筋交）を現しとする。柱を数本追加し、また床面・天井面にもグリッド状に木軸を展開していくことで、木軸が空間をパーソナルな領域として定義することを目指した。次に天井であるが、その低さを感覚的に軽減するため、本設計では掘上天井・下り天井を造作することとした。間接照明を入れることで自然光が降り注ぐような演出とし、外へ抜けるような高さ感を出した。また木軸のグリッドにより天井の単調さも払拭している。本設計では既存要素である木軸を全体へ展開し、また同時に住宅要素を払拭することで、場所のオリジナリティと店舗らしさを両立させた。"